はじめに
相場が大きく下がったとき、
新NISAについて調べると、必ず目にする言葉がある。
「暴落時は何もしないのが正解」
一見すると、投資経験者っぽいこの言葉。
ただ、実際に評価額が一気に下がった場面で、
本当に“何もしない”を貫ける人は多くない。
不安になってアプリを何度も開き、
「いま売ったほうがいいのでは」
「一度現金に戻したほうが安全では」
そんな考えが頭をよぎる。
この記事では、
暴落時に「何もしない」は本当に合理的なのか を、
過去のデータと実際の行動パターンをもとに整理する。
精神論ではなく、
新NISAという制度に照らした現実的な結論を出したい。
そもそも「暴落」とはどの程度の下落か
まず前提をそろえておく。
一般的に、株式市場では以下のように呼ばれることが多い。
- 10%前後の下落:調整
- 20%以上の下落:弱気相場(いわゆる暴落)
- 30%超:金融危機クラス
新NISAを始めた人が不安になるのは、
多くの場合「20%前後の下落」だ。
評価額が毎月右肩上がりだったところから、
一気にマイナスに沈む。
この瞬間にどう動くかで、
その後の資産形成が大きく分かれる。
過去の暴落は、実際どうなってきたか
ここで感覚ではなく、事実を見ておく。
過去20〜30年で起きた主な暴落と、その後の動きは以下の通り。
| 出来事 | 最大下落 | 回復までの期間 |
|---|---|---|
| ITバブル崩壊 | 約-49% | 約6年 |
| リーマンショック | 約-56% | 約5年 |
| コロナショック | 約-34% | 約1年 |
数字だけ見ると、
「やはり暴落は怖い」と感じるかもしれない。
ただ、同時に見えてくる事実がある。
どの暴落も、時間はかかったが回復している。
そしてもうひとつ重要なのは、
積立を続けていた人ほど、回復後の資産が大きかった という点だ。
「何もしない」が合理的になる条件
暴落時に「何もしない」が正解になるのは、
条件付きの話だ。
条件①:長期投資であること
新NISAは、短期売買の制度ではない。
20年、30年単位で資産を育てる仕組みだ。
この前提がある限り、
一時的な下落で動く理由は薄い。
条件②:積立を前提にしていること
積立投資では、下落は「安く買える期間」でもある。
価格が下がっているときに積み立てた分は、
回復局面で大きく効いてくる。
条件③:生活資金に余裕があること
投資資金と生活費が分離されていない場合、
暴落時に冷静な判断はできない。
この3つが揃っているなら、
「何もしない」は理にかなっている。
逆に、「何もしない」が危険になるケース
一方で、
この言葉を鵜呑みにすると危ないケースもある。
生活防衛資金を削って投資している
暴落時に現金が足りなくなると、
最悪のタイミングで売ることになる。
短期間で使う予定のお金を投資している
数年以内に使う資金は、
そもそも投資に向いていない。
暴落のたびに不眠になる
精神的な負担が大きすぎるなら、
リスクの取りすぎ。
「何もしない」が正解なのは、
無理のない前提があってこそ。
新NISAという制度を踏まえた結論
新NISAの特徴を整理すると、
- 非課税期間が長い
- 売買回数を増やすメリットが小さい
- 積立との相性が良い
この制度設計を考えると、
暴落時に余計な売買をしない方が合理的 なのは確かだ。
実際、僕がすでに書いている以下の記事ともつながる。
- 暴落時の行動ルール
https://tsumiboku.com/nisa-crash-actions/ - 暴落の下落幅と回復期間
https://tsumiboku.com/nisa-crash-data/
これらを踏まえると、
「何もしない」は放置ではなく、戦略的な選択と言える。
暴落時に本当にやるべきことは、実は少ない
整理すると、やるべきことはこの3つだけ。
- 積立設定を確認する
- 生活資金が足りているか確認する
- 情報を見すぎない
逆に、
売却・タイミング投資・方針変更は、
ほぼすべてが裏目に出やすい。
まとめ:「何もしない」は思考停止ではない
暴落時に「何もしない」という言葉は、
誤解されやすい。
正確には、
余計な判断をしない
仕組みを信じて続ける
という意味に近い。
新NISAは、
感情で動かない人ほど有利になる制度だ。
評価額が下がった画面を見て不安になるのは普通。
それでも、
積立を止めず、生活を壊さず、静かに続ける。
それが結果的に、
一番“難しくて、一番効く行動”になる。

